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2018-01-10 セキュリティニュースまとめ: 「起訴」は 2018 年の有効なサイバー攻撃対策ツール (米国)

米国発: 2017 年のサイバー犯罪に対する起訴の増加は 2018 年の対策にどのような意味を持つのか

元記事

www.helpnetsecurity.com

背景

2017 年は、サイバー犯罪者に対する起訴が増加した

起訴されても逮捕や有罪判決に至らない例は確かにある

それでもこうしたサイバー犯罪者を名指しで起訴することには今後のサイバー政策、サイバー犯罪において一定の効果がある

サイバー犯罪者の起訴による効果とは

1. 犯罪抑止効果

起訴が増えることで、政策立案者がサイバー攻撃に対しようやく包括的な立法・対策を行える。効果は 100% ではないが起訴に持ち込み名指しで恥をかかせることで、攻撃者に直接影響を及ぼすことができる

  • 逮捕の可能性がある国外への旅行が制限される
  • ロシア人のサイバー犯罪者が国外で逮捕されたこともある (モルジブバルセロナプラハなどで実例あり)
    • 最近では 27 年の禁固刑につながったケースも

2. カウンターエスピオナージ効果

OPM、Yahoo、HBO の事例では、サイバー攻撃には起訴という結果が伴うことを示した

  • 攻撃者が他国の政府や軍部から依頼をうけて活動した場合、その情報に精通することになる
  • こうした攻撃者の起訴が逮捕につながれば、依頼国は自国のインテリジェンスが攻撃者の逮捕により漏えいすることを懸念せざるをえない

3. 起訴が実際の犯人特定につながることを示せる

起訴することで、犯人の特定がまったく不可能ではないことを示すことができる

  • 司法省はいくつかの大規模侵害事件で犯人特定にいたる
  • 逮捕につなげるために起訴に持ち込むことが有効なだけでなく、黒幕となっている国家へのメッセージも発信することができるという点で重要

4. 攻撃した国家を名指しせずにすみ、報復措置をさけられる

国家と擬似的に提携してサイバー攻撃を行うサイバー犯罪者グループと外国政府の間の境界はもはや明確ではない。

  • 起訴によって、政府を名指することなく、そうした外国政府の諜報活動を制約できるというメリット
  • 外国政府そのものを名指ししてしまうと、それが軍事・経済・外交上の報復措置につながるのでそれを避けられる
  • 中国人を起訴した米国の検事 Soo C. Song は「起訴された人物が国家と共謀していたかどうかについては本起訴では関知しない」ことを明言
  • 2015 年に米中で同意した産業スパイに関する条約が反故にされたと明言することは避けられる

まとめ

  • 起訴は司法省のもつサイバー攻撃者に対する現時点で最も有効なツール
  • 攻撃者には現実世界で刑事罰を受ける可能性を自覚させることができる
  • 2018 年を通じてサイバー犯罪や産業スパイへの対策として、民間による攻撃か国家による攻撃かを明言しない起訴が拡大するだろう

参照記事

www.latimes.com